

【メタバース×地方創生】大丸松坂屋が挑む「メタバース石見神楽」 伝統文化を未来へつなぐ新たな地域PR【前編】
デジタル技術の進化によって、地方創生の取り組みも大きく変わり始めています。
これまで地域の魅力を発信する手段といえば、観光パンフレットやホームページ、SNS、動画などが中心でした。しかし近年は、VRやメタバースを活用し、実際に「体験する地域PR」へと進化しています。
その代表的な事例として注目されているのが、大丸松坂屋百貨店が制作幹事を務めた「メタバース石見神楽」です。
島根県石見地方に伝わる伝統芸能「石見神楽」をVRChat上に再現し、国内外の人々が自由に体験できる空間を制作。さらに青山学院大学では教材として活用されるなど、企業・自治体・大学が連携する新しい地方創生モデルとして注目されています。
本記事前編では、「メタバース石見神楽」が誕生した背景やプロジェクトの内容、教育への活用まで詳しく紹介します。
石見神楽とは
石見神楽は島根県西部・石見地方に古くから伝わる伝統芸能です。
日本神話を題材とした演目が多く、大蛇(おろち)退治や八岐大蛇など迫力ある舞台演出で全国的にも知られています。
石見神楽は地域住民によって受け継がれ、祭礼や地域行事には欠かせない存在となっています。しかし近年は人口減少や少子高齢化の影響により担い手不足が課題となり、文化継承の新しい方法が求められていました。
デジタル技術が伝統文化を変える
こうした課題に対し、大丸松坂屋百貨店は島根県江津市などと連携し、「メタバース石見神楽」を企画・制作しました。
舞台となるのは世界中で利用されているVRChatです。
利用者はアバターとなって石見神楽の世界を歩き回り、演目や舞台、美術などを体験できます。
動画を一方的に視聴するのではなく、自分自身が空間へ入り込むことで、従来にはない没入感を実現しています。
物理的な距離を超えて文化へ触れられる点は、地方創生におけるメタバース活用の大きな特徴といえるでしょう。
大丸松坂屋百貨店が挑戦する地域共創
百貨店というと販売事業のイメージが強いかもしれません。
しかし近年は地域との共創プロジェクトやDX推進、地方創生事業にも積極的に取り組んでいます。
メタバース石見神楽もその一つであり、地域文化を新しいデジタルコンテンツへ転換する役割を担いました。
企業が持つ企画力やデジタル技術、自治体が持つ地域資源を組み合わせることで、新しい価値を生み出しています。
VRChatだからこそ実現できる体験
VRChatは世界中から多くのユーザーが参加するソーシャルVRプラットフォームです。
PCでもVRヘッドセットでも利用でき、国内だけでなく海外ユーザーにも広く利用されています。
メタバース石見神楽では、実際の舞台空間を再現し、利用者が自由に歩きながら石見神楽の世界を楽しめます。
海外からでも日本文化へ触れられることは、インバウンド観光にもつながる可能性があります。
青山学院大学でも教材として活用
メタバース石見神楽は観光コンテンツだけではありません。
青山学院大学「デジタルストーリーテリングラボ」の特別講義でも教材として採用されました。
学生はメタバース空間を体験しながら、地域文化をデジタル技術でどのように発信できるのかを学習しています。
単なるVR体験ではなく、地方創生やコンテンツ制作、デジタルマーケティングを学ぶ教材として活用されている点が特徴です。
企業・自治体・大学が連携する新しいモデル
| 主体 | 役割 |
|---|---|
| 大丸松坂屋百貨店 | 企画・制作幹事 |
| 島根県江津市 | 地域文化・地域資源 |
| 青山学院大学 | 教育・人材育成 |
| VRChat | メタバース基盤 |
これまで地方創生は自治体主体で進められるケースが多くありました。
一方、このプロジェクトでは企業・自治体・大学が役割を分担することで、教育・観光・地域PRまで一体化した取り組みとなっています。
前編まとめ
メタバース石見神楽は、伝統文化をデジタル空間へ移し替えるだけのプロジェクトではありません。
地域文化を未来へ残すために、企業の技術力、自治体の地域資源、大学の教育力を組み合わせた新しい地方創生モデルです。
後編では、この取り組みが観光DXや関係人口の創出にどのような効果をもたらすのか、さらにAIやデジタルツインとの融合によって地方創生がどのように進化していくのかを詳しく解説します。
参考資料
- 大丸松坂屋百貨店「メタバース石見神楽」ニュースリリース
- 青山学院大学 デジタルストーリーテリングラボ 特別講義資料
- PR TIMES 関連リリース
- 島根県江津市 関連資料

コメント