

金融庁は2026年9月11日、「金融サービス利用者相談室」に寄せられた相談等の受付状況を公表しました。
集計期間は2026年4月1日から6月30日までです。
暗号資産(仮想通貨)等に関する相談は1,374件に上り、このうち991件、全体の72%が「個別取引・契約の結果に関するもの」でした。
前期の1,466件からは92件減少していますが、金融庁へ寄せられた全分野の相談15,418件のうち、暗号資産関連は9%を占めています。
暗号資産取引が広がる一方で、取引結果、契約、事業者対応などを巡る相談が、依然として多数寄せられていることが分かります。
なお、同じ資料に掲載された「詐欺的な投資勧誘1,961件」「何らかの被害があったもの1,616件」は、暗号資産だけの数字ではありません。
投資商品等と暗号資産等の二つの分野を合算した件数であり、「暗号資産詐欺が1,961件発生した」と説明するのは誤りです。
金融庁が2026年4月から6月の相談状況を公表
金融庁の金融サービス利用者相談室は、金融サービスに関する利用者からの質問、相談、意見、情報提供などを、電話、ウェブサイト、郵送などで受け付けています。
今回公表された資料の対象期間と主要な数字は、次のとおりです。
| 公表日 | 2026年9月11日 |
|---|---|
| 集計期間 | 2026年4月1日~6月30日 |
| 全分野の相談等 | 15,418件 |
| 前期の相談等 | 15,765件 |
| 全体の前期比 | 347件減少 |
| 1日当たりの平均 | 253件 |
| 金融庁チャットボットへのアクセス | 9,835件 |
全分野の相談等は前期から347件減少しましたが、金融庁は「ほぼ同水準」と評価しています。
相談等には、具体的なトラブル相談だけでなく、一般的な質問、行政への意見・要望、金融機関などに関する情報提供も含まれます。
暗号資産関連の相談は1,374件
暗号資産(仮想通貨)等に関する相談等は1,374件でした。
前期の2026年1月1日から3月31日までは1,466件だったため、今期は92件減少しています。
| 項目 | 件数 | 構成比・変化 |
|---|---|---|
| 暗号資産等に関する相談 | 1,374件 | 全相談の9% |
| 前期 | 1,466件 | - |
| 前期からの変化 | 92件減少 | 約6.3%減少 |
| 個別取引・契約の結果に関するもの | 991件 | 72% |
| 行政に対する要望等 | 158件 | 12% |
| 業界団体などを紹介した相談 | 228件 | 処理状況として別途集計 |
前期比の約6.3%減少は、金融庁が公表した1,466件と1,374件から算出した割合です。
相談件数は減少したものの、四半期の3カ月間で1,300件を超えているため、暗号資産に関する相談需要が大きく低下したとは言い切れません。
72%が個別取引・契約の結果に関する相談
暗号資産関連の相談で最も多かったのは、「個別取引・契約の結果に関するもの」です。
件数は991件で、暗号資産関連の相談全体の72%を占めました。
ただし、金融庁の資料は、991件すべてを詐欺被害や金銭トラブルとして集計しているわけではありません。
「個別取引・契約の結果に関するもの」という分類には、取引結果、契約内容、手続、事業者の対応などに関する質問や相談が含まれると考えられます。
そのため、記事で「暗号資産トラブルが991件発生した」「991人が被害を受けた」と断定することはできません。
| 表現 | 評価 |
|---|---|
| 個別取引・契約の結果に関する相談が991件 | 正確 |
| 暗号資産関連相談の72%を占める | 正確 |
| 暗号資産詐欺の被害が991件発生した | 資料からは確認できない |
| 991人が金銭的被害を受けた | 資料からは確認できない |
行政への要望等は158件
暗号資産に関する行政への要望等は158件で、全体の12%でした。
暗号資産を巡っては、交換業者への規制、利用者保護、無登録業者への対応、広告・勧誘、税制、取引ルールなど、幅広い制度上の論点があります。
ただし、今回の資料では、158件の具体的な内容までは公表されていません。
税制改正や規制強化に関する要望が何件あったのかなど、内訳を資料から断定することはできません。
228件で業界団体などを紹介
金融庁は、暗号資産等取引業協会などの業界団体を紹介した相談が228件あったことも明らかにしています。
金融サービス利用者相談室では、相談員が問題点を整理するための助言や、業界団体が設置する紛争解決機関などの紹介を行っています。
一方、金融庁の相談室自体が、利用者と事業者の間に入って、あっせん、仲介、調停を行うわけではありません。
この228件は、991件や158件と同じ「相談原因の内訳」ではなく、相談後に業界団体などを紹介した処理状況として示された数字です。
そのため、991件、158件、228件を単純に足して、暗号資産相談の総件数を計算することはできません。
暗号資産相談は全体の9%
金融庁へ寄せられた全分野の相談等は15,418件で、暗号資産関連の1,374件は全体の9%でした。
| 分野 | 件数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 投資商品等 | 5,603件 | 36% |
| 預金・融資等 | 4,089件 | 27% |
| 保険商品等 | 2,327件 | 15% |
| 暗号資産等 | 1,374件 | 9% |
| 金融行政一般・その他 | 1,174件 | 8% |
| 貸金等 | 669件 | 4% |
| 資金移動・前払式支払手段等 | 182件 | 1% |
暗号資産は、投資商品、預金・融資、保険に次いで4番目に相談件数の多い分野です。
全体の約11件に1件が暗号資産関連だった計算になります。
「詐欺的な投資勧誘1,961件」の正しい読み方
今回の発表で、特に注意が必要なのが、詐欺的な投資勧誘に関する数字です。
金融庁は、詐欺的な投資勧誘に関する相談等が1,961件あり、そのうち1,616件で何らかの被害があったと説明しています。
しかし、これは「投資商品等」と「暗号資産等」の二つの分野を合算した数字です。
暗号資産だけを抽出した件数ではありません。
| 表現 | 判定 |
|---|---|
| 投資商品等と暗号資産等を合わせた詐欺的投資勧誘が1,961件 | 正確 |
| 合算1,961件のうち、何らかの被害があったものが1,616件 | 正確 |
| 暗号資産詐欺が1,961件あった | 誤り |
| 暗号資産だけで1,616件の被害があった | 誤り |
金融庁の公表資料だけでは、1,961件のうち暗号資産に関するものが何件なのか、暗号資産関連で被害があったものが何件なのかは確認できません。
この二つの数字を「暗号資産詐欺の件数」として紹介すると、実際より大きな数字に見せてしまうため注意が必要です。
相談件数と被害者数は同じではない
今回公表された1,374件は、金融庁の相談室が受け付けた「相談等の件数」です。
暗号資産に関係する全国すべての被害件数を示す統計ではありません。
また、相談1件が必ず被害者1人に対応しているとも限りません。
- 同じ問題について複数回相談している可能性
- 一つの相談に複数の取引が含まれる可能性
- 被害が発生する前の問い合わせ
- 制度や手続に関する一般的な質問
- 行政への意見や要望
- 事業者に関する情報提供
したがって、「暗号資産被害者が1,374人いた」と読み替えることもできません。
暗号資産の取引前に確認したいこと
金融庁は、暗号資産は法定通貨ではなく、価格が急落する可能性があることなどを利用者へ注意喚起しています。
暗号資産を購入・取引する場合は、少なくとも次の項目を確認する必要があります。
- 利用する事業者が金融庁・財務局の登録を受けているか
- 取引する暗号資産の仕組みやリスクを理解しているか
- 価格変動によって損失が発生する可能性を理解しているか
- 手数料、出金条件、解約条件を確認したか
- 秘密鍵やパスワードを第三者へ教えていないか
- SNSだけで知り合った相手から投資を勧められていないか
- 「必ず利益が出る」などと説明されていないか
- 指定された個人口座へ送金するよう求められていないか
金融庁の登録を受けた事業者であることは、暗号資産の価値や将来の利益を国が保証するという意味ではありません。
登録事業者を利用する場合でも、暗号資産の価格変動、取引条件、システム障害などのリスクは残ります。
トラブルが発生した場合の相談先
暗号資産に関する問題が発生した場合は、まず取引履歴、契約内容、送金先、相手とのメッセージ、ウェブサイトの画面などを保存することが重要です。
金融サービス利用者相談室では、問題点を整理するための助言や、適切な業界団体・相談機関の紹介を受けられます。
ただし、金融庁が個別の契約を解除したり、事業者から資金を取り戻したりするわけではありません。
詐欺や不正送金が疑われる場合は、利用した金融機関や暗号資産交換業者へ速やかに連絡し、警察や消費生活センターへの相談も検討する必要があります。
よくある質問
暗号資産関連の相談が1,374件あったということですか
はい。2026年4月1日から6月30日までに、金融庁の金融サービス利用者相談室が受け付けた暗号資産等に関する相談等は1,374件です。
1,374件すべてが詐欺被害ですか
いいえ。一般的な質問、個別取引・契約の結果に関する相談、行政への要望、情報提供などが含まれます。
991件は暗号資産の被害件数ですか
断定できません。991件は「個別取引・契約の結果に関するもの」という相談分類であり、すべてが詐欺や金銭被害とは限りません。
詐欺的な投資勧誘1,961件は暗号資産だけの数字ですか
違います。「投資商品等」と「暗号資産等」を合算した件数です。何らかの被害があった1,616件についても同様です。
前期から相談は増えていますか
減少しています。前期の1,466件から92件減り、今期は1,374件でした。
まとめ
金融庁が2026年9月11日に公表した資料によると、2026年4月から6月までの暗号資産等に関する相談は1,374件でした。
前期の1,466件から92件減少しましたが、金融庁へ寄せられた全相談15,418件のうち9%を占めています。
暗号資産関連の相談では、個別取引・契約の結果に関するものが991件、72%を占めました。行政への要望等は158件、業界団体などを紹介した相談は228件でした。
ただし、991件はすべてが被害や詐欺を意味する数字ではありません。
また、詐欺的な投資勧誘1,961件と、何らかの被害があった1,616件は、投資商品等と暗号資産等を合算した数字です。
「暗号資産詐欺が1,961件」「暗号資産被害が1,616件」と説明するのは、金融庁の集計内容とは異なります。
相談件数は前期より減少したものの、個別取引や契約に関する相談が7割を超えていることから、事業者の登録状況、契約条件、出金方法、手数料、勧誘内容を取引前に確認する重要性は変わっていません。
English Summary
Japan’s Financial Services Agency received 1,374 inquiries and complaints related to crypto-assets between April 1 and June 30, 2026.
The figure decreased by 92 from 1,466 in the previous quarter. Crypto-related cases represented 9 percent of the 15,418 inquiries received across all financial-service categories.
Of the crypto-related cases, 991, or 72 percent, concerned the results of individual transactions or contracts. Another 158 cases, or 12 percent, involved opinions or requests concerning financial administration.
The agency also referred 228 cases to relevant industry associations and other organizations.
The FSA separately reported 1,961 cases involving suspected fraudulent investment solicitation, including 1,616 cases in which some form of damage was reported. However, these figures combine the investment-products and crypto-assets categories. They must not be described as crypto-only fraud statistics.
参考・出典
※本記事は2026年9月15日時点で公表されている金融庁の資料に基づいています。
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