
【AI×自治体DX】「KOBE AI PORT」で行政はどう変わるのか AI市民開発が切り拓く自治体DXの未来【後編】
前編では、神戸市が構築を進める新たな庁内AI基盤「KOBE AI PORT」の概要や、LGWAN環境で安全に生成AIを利用できる仕組み、そして「AI市民開発」という新しい考え方について紹介しました。
後編では、「KOBE AI PORT」が実際の行政業務をどのように変え、市民サービス向上へどうつながるのかを詳しく解説します。
KOBE AI PORTが目指すもの
神戸市が目指しているのは、単に生成AIを導入することではありません。
最大の目的は、職員一人ひとりがAIを活用し、自ら業務改善を実現できる環境を整備することです。
これまでは、新しいシステムを導入する際、情報システム部門や外部ベンダーへ依頼する必要がありました。
しかしKOBE AI PORTでは、ノーコード・ローコード開発ツール「Dify」を活用することで、現場の職員自身がAIアプリやAIエージェントを開発できる環境が提供されます。
これにより、業務改善のスピードは飛躍的に向上すると期待されています。
AI市民開発が行政を変える
近年、多くの企業で注目されている「Citizen Development(市民開発)」は、自治体にも広がり始めています。
神戸市では、この考え方をAIへ発展させ、職員自身が現場の課題を解決するAIアプリを作成できる環境づくりを進めています。
例えば、次のような業務への活用が期待されています。
- 住民問い合わせ対応チャットボット
- 申請書類のチェック支援
- 議事録の自動作成
- 条例・規則検索AI
- 庁内FAQ検索
- 文書作成支援
- 定型業務の自動化
現場を最も理解している職員が自ら改善を行うことで、より実践的なDXが可能になります。
行政サービスにも大きな変化
AI活用は職員の業務効率化だけではありません。
最終的には市民サービス向上につながることが期待されています。
例えば、問い合わせへの回答時間短縮や申請手続きの迅速化、情報検索の効率化など、市民が直接メリットを感じられるサービス改善も可能になります。
また、職員の事務負担が軽減されることで、本来注力すべき相談業務や政策立案へより多くの時間を充てられるようになります。
Difyが担う重要な役割
KOBE AI PORTの中核を担うのが、オープンソースの生成AIアプリ開発基盤「Dify」です。
Difyは複数のLLMと連携でき、チャットボットやAIエージェントを比較的簡単に構築できます。
専門的なプログラミング知識がなくても利用しやすいことから、多くの企業や自治体で採用が進んでいます。
神戸市では、この環境を活用し、職員によるAI活用文化の定着を目指しています。
自治体DXのモデルケースになる可能性
全国の自治体では、生成AIの導入が進んでいますが、多くはチャット利用や文書作成支援にとどまっています。
一方、神戸市はAIアプリを自ら開発・運用できる環境を整備することで、自治体DXを次の段階へ進めようとしています。
この取り組みが定着すれば、他自治体が参考にする事例となる可能性もあります。
自治体職員がAIを「利用する側」から「作る側」へ変わることは、日本の行政DXにおいて大きな転換点となるかもしれません。
図解 KOBE AI PORTが生み出す変化
| 従来 | KOBE AI PORT導入後 |
|---|---|
| AIは一部職員のみ利用 | 全職員がAIを利用可能 |
| システム部門中心の開発 | 現場職員がAIアプリを開発 |
| 定型業務に時間を費やす | AIが業務を支援・自動化 |
| 問い合わせ対応に時間 | AIチャットで迅速対応 |
| 業務改善に時間がかかる | 現場主導でスピーディーに改善 |
まとめ
神戸市が構築する「KOBE AI PORT」は、生成AIを利用するだけの基盤ではありません。
職員自身がAIアプリやAIエージェントを開発し、行政サービスそのものを進化させる新しい自治体DXの基盤です。
LGWAN環境、LLM、Difyを組み合わせたこの取り組みは、今後の自治体DXの方向性を示す先進事例として注目されています。
AIを「使う」から「創る」へ――神戸市の挑戦は、日本の行政デジタル化に新たな一歩を刻もうとしています。
参考資料
- 神戸市 公式発表
- リコー ニュースリリース(2026年7月8日)
- リコージャパン株式会社
- リコーITソリューションズ株式会社
- Dify 公式プロジェクト


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