
iREX2025で「フィジカルAI」は何を見せたのか:ソフトバンク×安川電機の協業は“構想”からどこまで進んだ?
2025年12月、東京ビッグサイトで開催された「2025国際ロボット展(iREX2025)」では、AIを“画面の中”ではなく“現場の動作”に落とし込む「フィジカルAI」が大きな注目を集めた。来場者数は約15万6千人規模に達し、出展も過去最大級となったと報じられている。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
その中で、ソフトバンクと安川電機は「AI-RAN」と「AIロボティクス」を組み合わせ、ロボットがセンサー/カメラと外部システムの情報を統合・解析し、状況に応じて最適な指示を出す仕組みを目指す協業を発表。iREX2025では安川電機ブースで、社会実装を見据えたユースケースのデモが披露された。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
まず整理:ソフトバンク×安川電機が言う「フィジカルAI」とは
ソフトバンク側の説明では、フィジカルAIは「ロボットのセンサーやカメラ、外部システムから得た情報をAIが解析・判断し、その結果に基づいてロボットが柔軟で複雑な動きを行えるようにする技術」と位置付けられている。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
ポイントは“AIで賢くなる”という抽象論ではなく、現場の状態変化(人の動き、設備の状態、通路の混雑、建物システムの情報など)をリアルタイムで取り込み、ロボットの動作へ即時反映するところにある。協業の狙いは、安川電機の精緻な制御と作業力に、ソフトバンクのAI-RANを掛け合わせることで、ロボットが扱えるタスク領域を拡張することだ。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
iREX2025で「実際に行われた」デモの中身
iREX2025の安川電機ブースでは、ソフトバンクとの協業の一環として共同開発したユースケースがデモとして公開された。ソフトバンク公式の振り返り記事では、展示会の来場者規模とともに、協業ユースケースのデモ披露が明記されている。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
また、展示レポートでは「ソフトバンクとコラボした安川電機のオフィス自動化のデモ」が取り上げられており、“現場”に寄せたユースケースで見せたことが分かる。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
加えて、ソフトバンク研究アカウントの投稿でも、安川電機のロボットと次世代のビルシステムが連携する形で、オフィス向けユースケースを披露した旨が触れられている。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
「結果」として読み取れる3点
- 構想止まりではなく、来場者の前で動くデモまで到達:協業発表(12/1)から、会期(12/3〜6)に合わせて展示に落とし込んだ流れは、少なくとも“研究発表だけ”ではない。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
- “工場内の単一工程”より、“オフィス環境”に寄せたユースケース:外部システム(例:ビル管理系)との連携や環境変動への追従がテーマになりやすく、フィジカルAIの価値(状況判断→動作反映)を示しやすい設計だといえる。:contentReference[oaicite:8]{index=8}
- AI-RANの文脈(通信×AI×エッジ)に寄せた設計意図:ロボット側のセンサー/カメラ情報や外部情報を統合して解析し、リアルタイム指示に繋げる、という説明は“ネットワーク×推論”の必然性を前提にしている。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
最先端としての評価:何が「進んだ」のか/何が「まだ」なのか
進んだ点:現場デモで“統合”を見せた
今回の協業で重要なのは、単にロボットをAIで動かすのではなく、ロボットの知覚(センサー/カメラ)と外部システム(ビル設備など)のデータを統合し、状況に応じた指示へ繋げる統合の思想だ。プレスリリースでは、複数情報を統合・解析してリアルタイム最適指示を行う仕組みを構築する、と明記されている。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
まだの点:社会実装=“安定稼働の証明”はこれから
一方で、展示会デモは「可能性の提示」であり、社会実装の核心である長期運用の安定性、異常時対応、保守、運用設計(誰が、どこまで、どう管理するか)は、デモだけでは判断できない。ここは今後の導入事例、運用レポート、継続的なアップデートの積み上げが必要になる。
関連企業の動き:フィジカルAI競争の現在地(比較表)
iREX2025では、安川電機以外にもフィジカルAIを前面に出す展示が複数あったとレポートされている。特にファナックや安川電機がAI技術を押し出した点が言及されており、“フィジカルAI”は特定企業の専売特許ではなく、産業ロボット各社が競う領域になりつつある。:contentReference[oaicite:11]{index=11}
| 企業・枠組み | 強みの軸 | iREX2025での見え方(公開情報ベース) | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| ソフトバンク × 安川電機 | AI-RAN(通信×AI)+AIロボティクス | 安川電機ブースで協業ユースケースのデモを披露 | ロボット知覚+外部システム統合→リアルタイム指示 |
| 安川電機(単体) | 産業ロボットの制御・作業力 | フィジカルAIの社会実装を見据えた展示が言及 | 工場外(オフィス等)の複雑環境対応 |
| ファナック(例) | ロボット制御+現場での自律性 | フィジカルAIを含むAI技術を前面に押し出したとレポート | 環境変化への追従・経路生成など“現場の自律” |
| 産業ロボット各社(総論) | AI×センシング×シミュレーション | フィジカルAIが展示トレンドの一つとして注目された | 導入容易性・安全・保守・運用設計が差別化要因 |
※比較表は、iREX2025の展示傾向に関するレポートと、ソフトバンク/安川電機の公式発表を元に整理。個別製品の性能比較ではなく、公開情報から読み取れる「軸」の比較として参照してほしい。:contentReference[oaicite:12]{index=12}
現場目線のまとめ:次に見るべきは「導入結果」の公開
iREX2025で見えたのは、フィジカルAIが“概念”から“実機デモ”へ踏み出したこと、そして産業ロボットの世界でも「状況認識→判断→動作」をより現実環境に寄せて競う段階へ入ったことだ。:contentReference[oaicite:13]{index=13}
ただし、社会実装の勝負所は展示会の4日間ではなく、導入後の運用でどれだけ安定して価値を出し続けられるかにある。次の注目は、実際のオフィス・施設・物流などでの導入事例がどの速度で積み上がり、運用ノウハウ(安全・保守・監視・コスト)がどこまで公開されるかだ。
フィジカルAIの「最先端」は、派手なデモの瞬間ではなく、導入現場で“当たり前に動き続ける”ところにある。iREX2025は、その入口が見えた展示だったと言えるだろう。


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