Googleが「TimeFM」と名付けた時系列予測のための基盤モデルを開発し、公開しました。このAIはさまざまな分野の時系列データを事前学習し、特定の分野のデータでファインチューニングを行わずに、高精度な予測を可能にするものです。小売の需要予測、気象予測、交通予測、金融予測、電力需要予測など、多岐にわたる用途に応用できることが期待されています。
現在のAIは未来予知を拒否しているという事実
一方で、現在のAIは、未来予測の倫理的な問題から未来予知を拒否しています。たとえば、ChatGPTに「明日の日経平均の終値を予測して」と指示しても、「株式市場の将来の値動きを正確に予測することは非常に難しい」といった回答が返されます。しかし、天気予報などではAIは過去の膨大な気象データをパターン解析し、現在の気象条件から未来の天気を予測しています。つまり、過去の統計と現在のデータを元に未来を予測することは、人間もやっていますし、AIは膨大なデータを瞬時に処理できるのですから人間以上に得意分野なはずです。
しかし、AIで未来予知機能が一般に提供されない背後には、倫理的な問題があります。たとえば、生活保障のためにある生命保険が、保険会社の利益追求により、その本来の目的を見失う懸念があります。具体的には、AIが「長生きしない人」を判定し、その結果をもとに生命保険会社が保険契約を拒否したり、保険料を高く設定したりすると、社会的な差別や不利益を被る人が出てくる恐れがあります。
倫理を踏まえ、人々の社会活動を支援する用途
これに対して、Googleの「TimeFM」は、人々の社会活動を支援する用途を想定しています。渋滞予想や電力需要予測などは倫理的な問題をはらみづらく、天気予報と同種と思えるもので、Googleがハレーションが起きづらい未来予測AIを提示したと言えます。
未来予知AIは、直感的に皆が欲しがるものだと思います。特にお金にまつわるものは潜在需要がとても高いものですが、倫理問題をはらむため、Googleはハレーションが起きづらいところから「TimeFM」AIを投入する計画なのだと思われます。
ビジネス用途であれば自動運転やマーケティングに未来予知AIは活用されますし、個人レベルでもスマートウォッチから取れるデータで健康予測をするようなものや、怪しいギャンブルAIや、「ややスピ」流行りに乗った占い師AIも出そうな気がします。
未来予測AIは未来の可能性を切り開きますが、その一方で倫理的な問題も引き起こします。そのバランスをどのように取るかが、未来予測AIの成功の鍵となります。
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参考リンク:
1. Googleが“一歩先の未来を予知”できる時系列予測AI基盤モデル「TimeFM」公開
2. 倫理的・社会的に許容できない「人の死期を予測するAI」、実現は目と鼻の先
3. 男を翻弄するAI彼女とは?作り方や出会い方、AI彼女が原因のテロ・事件を紹介
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