約1,000自治体の脱炭素計画を生成AIで分析――NTT西日本が自治体GX支援手法を確立

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NTT西日本株式会社は2026年10月7日、自治体の脱炭素計画策定を支援するため、生成AIを活用した新たなコンサルティング手法を確立したと発表しました。

公開されている約1,000自治体の「地方公共団体実行計画(区域施策編)」などを生成AIプログラムへ取り込み、地域特性に合った温室効果ガス削減施策の検討、国の法令や既存計画との整合性確認、類似課題を抱える自治体の事例検索などに活用します。

今回の取り組みで注目されるのは、生成AIの用途が問い合わせ対応や文書作成といった行政事務から、脱炭素政策の立案や計画策定へ広がっている点です。

ただし、自治体職員が生成AIを直接操作して政策を自動作成するサービスではありません。NTT西日本のコンサルタントが生成AIを活用し、同社がGX支援で蓄積してきた実務知識と組み合わせて計画策定を支援する手法です。


NTT西日本が生成AIを活用した自治体GX支援手法を確立

NTT西日本が今回確立した手法は、自治体が策定する「地方公共団体実行計画(区域施策編)」を対象としています。

地方公共団体実行計画の区域施策編とは、自治体が地域全体の温室効果ガス排出量を削減するために策定する総合的な計画です。

再生可能エネルギーの導入、省エネルギー、公共交通、地域産業、廃棄物対策、緑化など、自治体の自然的・社会的条件に応じた施策を整理します。

発表日 2026年10月7日
発表企業 NTT西日本株式会社
対象 地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定支援
参照する情報 公開されている約1,000自治体の区域施策計画情報など
利用者 NTT西日本のコンサルタント
主な目的 地域特性に応じた脱炭素施策と実効性の高い計画の検討
今後の支援 再エネ・省エネ、PPA、補助金活用などの実行支援

NTT西日本の発表は、独立した生成AIサービスの一般提供開始ではなく、生成AIを組み込んだコンサルティング手法の確立を公表したものです。


約1,000自治体の脱炭素計画を参照

新たな手法では、公開されている約1,000自治体の地方公共団体実行計画(区域施策編)などを、NTT西日本独自の生成AIプログラムで活用します。

自治体の脱炭素計画は、地域の人口、産業構造、土地利用、交通事情、再生可能エネルギー資源などによって内容が異なります。

山間地域、都市部、工業地域、観光地域では、効果が期待できる施策や導入時の課題も同じではありません。

多数の自治体計画を横断的に参照することで、検討対象の自治体と類似する地域条件や課題を持つ事例を探し、施策立案の参考にできます。

生成AIが支援する主な業務

  • 地域特性に応じた脱炭素施策の検討
  • 国の法令や制度との整合性確認
  • 自治体の既存計画との整合性確認
  • 類似する地域課題を持つ自治体の優良事例の検索
  • 各種統計データや調査結果の整理
  • 温室効果ガス排出量削減施策の立案
  • 計画策定に使用した情報やデータの参照元確認

単に他自治体の文章を流用するのではなく、地域固有の条件と既存の行政計画を踏まえて、実行可能性のある施策を検討することが目的です。


地方公共団体実行計画とは

地方公共団体実行計画は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づいて自治体が策定する計画です。

大きく分けると、自治体自身の施設や行政事務に伴う温室効果ガスを削減する「事務事業編」と、地域全体の脱炭素施策を定める「区域施策編」があります。

計画 主な対象
事務事業編 庁舎、公共施設、公用車など自治体自身の事務・事業
区域施策編 住民、事業者、交通、エネルギー、廃棄物など地域全体

環境省が公表している2025年10月1日時点の調査では、区域施策編を策定したことがある自治体は全国で1,117団体、策定率は62.5%です。

都道府県、指定都市、中核市、施行時特例市では策定率が100%となっていますが、その他の市区町村では59.0%にとどまっています。

計画を策定するだけでなく、地域の実情に合った具体策を設計し、実行と見直しにつなげられるかが課題となっています。


38自治体・累計90件のGX支援経験を反映

今回の生成AIプログラムには、公開されている自治体計画だけでなく、NTT西日本グループがGX関連のコンサルティングで蓄積してきた知見も活用されます。

NTT西日本グループは、2021年4月から2026年3月までに、38自治体から累計90件のGX関連コンサルティング業務を受注しています。

この実績には、次のような業務が含まれます。

  • 地方公共団体実行計画の策定支援
  • 脱炭素先行地域の計画づくり支援
  • 再生可能エネルギー導入可能性調査
  • 地域課題に応じた脱炭素施策の検討

「38自治体」は契約先となった地方公共団体を重複なく数えた数字で、「累計90件」は契約単位で数えた業務件数です。

生成AIによる情報処理と、実際の自治体支援で得た専門知識を組み合わせることで、汎用的な生成AIだけでは難しい政策形成を支援します。


クローズド環境と参照元表示で信頼性を確保

政策立案に生成AIを利用する場合、情報漏えいとハルシネーションへの対策が重要です。

NTT西日本は、関連データをクローズド環境で活用することで、情報漏えいのリスクを抑えながら運用できると説明しています。

また、計画策定に使ったデータや情報の参照元を明確にすることで、生成AIが事実と異なる情報を生成するハルシネーションを抑制し、出力の正確性と信頼性の向上を図ります。

政策形成で重要になる確認項目

  • 回答の根拠となった法令や計画
  • 参照した統計データの出典と更新時期
  • 他自治体事例の地域条件
  • 検討対象地域との類似点・相違点
  • 施策の費用と実行可能性
  • 既存の総合計画や環境計画との整合性

参照元を確認できる設計は、生成AIの文章をそのまま採用するのではなく、人間が根拠を検証して政策へ反映するために必要です。


生成AIが政策を自動決定する仕組みではない

今回の手法では、生成AIが自治体の脱炭素政策を自動的に決定するわけではありません。

約1,000自治体の計画や関連データを生成AIが処理し、その結果をNTT西日本のコンサルタントが計画策定支援に活用します。

生成AIは、大量の文書から関連情報を探し、比較し、論点を整理する役割を担います。一方、地域課題の評価、住民や事業者との調整、施策の優先順位、予算配分、最終的な政策判断は、人間が担う必要があります。

この仕組みは、AIによる政策立案の完全自動化ではなく、生成AIと専門家を組み合わせた政策形成支援と捉えるのが適切です。


計画策定から再エネ・補助金活用まで支援

NTT西日本は、生成AIを利用した計画策定支援を入口として、具体的な脱炭素施策の実行まで一体的に支援する方針です。

今後想定される支援

  • 再生可能エネルギー導入支援
  • 省エネルギー施策の実行支援
  • PPAを利用した太陽光発電設備の導入
  • 国などの補助金活用支援
  • カーボンニュートラル施策の立案・推進

PPAとは、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備で発電された電力を、長期契約によって利用する仕組みです。

自治体の脱炭素政策では、計画書を作成して終了するのではなく、設備導入、財源確保、事業者選定、進捗管理まで進める必要があります。

生成AIによる情報分析を、再エネ設備や補助金活用といった具体的な事業へ接続できるかが、今回の取り組みの重要なポイントです。


自治体AIが事務効率化から政策形成へ

自治体における生成AI活用は、文章の要約、議事録作成、問い合わせ対応、庁内情報検索など、行政事務の効率化から始まりました。

今回のNTT西日本の取り組みでは、生成AIを自治体の脱炭素計画や施策検討に利用します。

自治体AIの利用段階 主な用途
事務支援 文章作成、要約、翻訳、議事録作成
情報案内 住民向けチャットボット、庁内ナレッジ検索
計画策定支援 法令確認、既存計画との整合性確認、事例比較
政策形成支援 地域課題に応じた施策立案、事業化、効果検証

生成AIが行政職員の作業時間を短縮する段階から、専門家とともに政策形成を支援する段階へ進み始めた事例といえます。

一方で、他自治体の事例がそのまま地域に適用できるとは限りません。AIが提示した施策を、地域の産業、地理、住民ニーズ、予算、実施体制に合わせて検証する工程が不可欠です。


まとめ

NTT西日本は2026年10月7日、生成AIを活用した自治体向け脱炭素計画策定のコンサルティング手法を確立しました。

公開されている約1,000自治体の地方公共団体実行計画(区域施策編)などを活用し、地域特性に応じた施策検討、法令や既存計画との整合性確認、類似自治体の優良事例検索を支援します。

さらに、2021年4月から2026年3月までに受注した38自治体・累計90件のGXコンサルティングで培った知見も活用します。

クローズド環境での運用や参照元の明確化により、情報漏えいやハルシネーションのリスクを抑える設計です。

今後は計画策定だけでなく、PPAをはじめとする再エネ・省エネ設備、補助金活用など、具体的な施策の実行まで一体的に支援する方針です。

今回の発表は、自治体における生成AIの役割が、日常業務の効率化から、専門家と連携した政策形成支援へ広がっていることを示す事例です。


English Summary

On October 7, 2026, NTT West announced that it had established a new consulting method using generative AI to support Japanese municipalities in developing regional decarbonization plans.

The AI program uses information from publicly available regional climate action plans prepared by approximately 1,000 municipalities. It helps NTT West consultants examine legal consistency, compare existing municipal plans, identify relevant examples and develop measures suited to local conditions.

The method also incorporates knowledge gained from 90 GX-related consulting projects commissioned by 38 municipalities between April 2021 and March 2026.

The AI is operated in a closed environment, and information sources are identified to improve reliability and reduce hallucinations. It does not automatically determine public policy; consultants and municipalities remain responsible for evaluation and final decisions.

NTT West plans to extend its support from planning to implementation, including renewable energy, energy efficiency, power purchase agreements and assistance with government subsidies.


参考・出典

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